写本のナスタアリーク体を読む4 (「カユーマルス王」第10対句)
写本のナスタアリーク体を読むシリーズ、前回に続き、今回は「カユーマルス王の御所」の4対句目である、シャー・ナーマ(シャー・ナーメ)の「カユーマルス王」第10対句を見ていきます。
「カユーマルス王」第10対句
それでは、「カユーマルス王」第10対句のテキストを見てみます。
書かれている文章は、以下のとおりです。
سر تاج و تختش برآمد ز کوه، پلنگینه پوشید خود با گروه
ナスタアリーク体のフォント「IranNastaliq」では、以下のようになります。
読解
この対句の読みは、古典ペルシア語音で以下のようになります。
sar-i tāj u taxtaš bar-āmad zi kōh,
palangīna pōšīd xʷad bā gurōh.
現代イランの標準ペルシア語では、以下のようになります。
sar-e tāj o taxtaš bar-āmad ze kūh,
palangīna pūšīd xod bā gorūh.
タジキスタンのタジク語でのキリル文字表記は以下のとおりです。
Сари тоҷу тахташ баромад зи кӯҳ,
Палангина пӯшид худ бо гурӯҳ.
意味は以下のようになります(参考: 岡田恵美子訳「王書」, 岩波文庫, 1999年)。
その王冠と玉座は山からそびえ、
王と臣下は豹の皮を身にまとった。
詳細読解
(作成中)
異文
Wikisourceにあるテキストでは、「カユーマルス王」の第10対句は以下のようになっています。赤の太字は「カユーマルス王の御所」との相違点です。
سر تخت و بختش برآمد ز کوه پلنگینه پوشید خود با گروه
意味は以下のようになります。
「その玉座と運勢は山からそびえ、王と臣下は豹の皮を身にまとった」
(作成中)