ペルシア語学習ブログ

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ペルシア語におけるナスタアリーク体についての雑記

ペルシア語のアラビア文字の書体と言えば、ナスタアリーク体(別名、ペルシア書体)である。イランではナスフ体が一般的に使われている書体ではあるが、ナスタアリーク体を目にすることも少なくない。詩などの書道作品ではナスタアリーク体が割合としては最も多いであろうし、古写本は専らナスタアリーク体であろう。流麗なナスタアリーク体を自由に読み書きできるようになりたい、というのは私の夢でもあった。

ナスタアリーク体は、ナスフ体の知識だけでは正直読める気がしない。私がナスタアリーク体を習う上でおおいに参考になったのが、以下の「もっときれいにナスターリーク」である。

もっときれいにナスターリーク ナスターリーク体の書き方入門

ウルドゥー語のナスタアリーク体の入門だが、ペルシア語のナスタアリーク体もほぼ同じと見て良い。敢えて言えば、「choti he」と「do casmi he」や、二種類の「ye」は、単に書体の違いであり(ウルドゥー語でも元々は書体の違いだったようである)、同じ人が同じ文章中で同じ単語を書く場合でも両者を混用することがあり得る、ということである。ナスタアリーク体の書き方について詳細に述べたページは、日本語以外を含めても、ウェブ上ではこれ以外見つけられていない。ナスタアリーク体を読み書きする上で、ほぼ唯一の突破口と言っても良いページである。

ナスタアリーク体を学ぶ上で大きな助けになるのが、文字や文章を、パソコン上で実際にナスタアリーク体で表示してみることである。ナスタアリーク体のフリーフォントは、ウルドゥー語用のものも含めるといくつかあるが、ペルシア語用の「IranNastaliq」というフォントが流麗で美しい。以下は「IranNastaliq」で表示した文章である。

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フォントのダウンロードは、以下のサイトから行うことが可能である。

IranNastaliq フォント

ナスタアリーク体のフォントをインストールしておけば、例えば単語に文字をひとつひとつ加えていった時に字形がどう変化するかを観察することができる。ナスタアリーク体は、単語中での文字の位置や前後関係による字形の変化が激しいので、ナスタアリーク体フォントの使用は非常に役に立つだろう(もっとも、ナスタアリーク体の特徴ではなくそのフォント固有の特徴というものもあるかもしれないが)。

ナスタアリーク体で書かれた文章の実例は、googleで「nastaliq」等をキーワードに画像を検索すればネット上でいくらでも見つけることができる。Wikipediaのナスタアリーク体のページでは、解説付きの画像もあるので解読の参考になる。

Nastaʿlīq script - Wikipedia

なお、googleで「نستعلیق」で画像を検索すると、ナスタアリーク体のほかにシェキャステ体(古典音ではシカスタ?)も相当な割合で出てくる。シェキャステ体はナスタアリーク体をさらに流麗にしたような書体で、アラビア文字の他の書体ではつながらない文字もつなげて書くので、ナスフ体の知識のみでは極めて読解が難しい。イランでの手書きの文章は、シェキャステ体的な文字で書かれることも多いようで、私としてもシェキャステ体はぜひ読み書きできるようになりたいと思っているのだが、解説ページは今のところ見つけられておらず、現時点ではどうにか解読できた実例から推測するのみである。